新型コロナウイルスが流行して以降、Uber Eats(ウーバーイーツ)やDiDi Food(ディディフード)などといったフードデリバリーサービスが流行し始めました。
元々アルバイトなどの直接雇用のみで対応していた出前館も、この流れに乗るように業務委託配達員の募集を開始し、誰でも出前館の配達員として働けるようになりました。
フードデリバリーサービスの配達員として働きたい方の中には、出前館での配達を検討している方もいると思われます。
今回は出前館で配達員として働きたい方向けに、出前館の配達員の仕組みや料金の形態、メリット・デメリットなどについて解説します。
出前館配達員の仕組み【業務委託と直接雇用の違い】
出前館は元々アルバイトで配達員を雇っていたため、今では直接雇用と業務委託の2つの働き方から選択できます。
そこで、出前館の配達員の雇用形態や料金の仕組みの違いを解説します。
雇用の仕組み
アルバイトとして配達員を雇った場合に、出前館との直接雇用という扱いで就業することとなります。
車両や制服、端末などの必要な備品はすべて貸し出され、保険も自分で加入の手続きをする必要がないため、安心して仕事に取り組みやすいです。
一方で、業務委託の場合は出前館のアプリをダウンロードして、必要な手続きを済ませれば個人事業主という形で就業できます。
個人事業主だと、直接雇用と違ってシフトがなくいつでも自由に働くことができ、職場の人間関係のストレスを抱えたくない方にはうってつけの働き方です。
ただ、直接雇用のように安定した収入が入るわけではなく、注文が無ければ報酬は一切ない分、稼げないときに焦りを感じてしまいます。
料金の仕組み
直接雇用の場合は、時給制で報酬が支払われます。
アルバイトの場合だと時給1,000円前後となることが多く、その地域のアルバイトの時給相場によって細かく変動します。
一方で、業務委託は配達1件あたりで料金が決まっています。
他のフードデリバリーサービスであればもっと細かく計算した上で料金が算出されますが、出前館は地域ごとに1件あたりの料金が決まっているのでかなりわかりやすい料金の仕組みとなっています。
例えば、東京なら1件あたり715円、関西などでは1件660円、一番安いエリアで沖縄が550円となっています。
固定報酬となっているため、配達距離に料金が反映されない点を踏まえて、どう動いていくかでもらえる報酬が大きく変わってきます。
出前館配達員と他のフードデリバリーサービスの配達料金を比較
出前館の業務委託配達員は、他のフードデリバリーサービスと比べてどのくらい1件あたりの配達料金が高いのか、表で以下の6つのサービスと比較してみます。
- 出前館
- Uber Eats(ウーバーイーツ)
- menu(メニュー)
- DiDiフード(ディディフード)
- Wolt(ウォルト)
- foodpanda(フードパンダ)
フードデリバリサービス | 配達料金 |
出前館 | 関東エリア:715円、他都市:660円、沖縄:550円 |
Uber Eats(ウーバーイーツ) | 基本金額+配達調整金額 |
menu | 回数料金+距離料金 |
DiDiフード | 受取料金+受渡料金+(ピック距離×125円)+(ドロップ距離×125円)-手数料 |
Wolt | 基本料金+長距離料金 |
foodpanda | 配達距離、車両、エリア、ピークタイム、応答率、ランクによって毎回変動 |
各フードデリバリサービスの配達料金はこのようになっていて、固定報酬制になっているのは出前館だけです。
それ以外のところでは長距離の配達になるとその分料金が上乗せされます。
Uber Eats(ウーバーイーツ)やDiDiフードは1件あたりの配達料金が300円程度になることが少なくありません。
menu(メニュー)は1件あたりの単価が出前館と同じくらいもらえる代わりにロングピックが多いです。
Wolt(ウォルト)やfoodpanda(フードパンダ)は1件あたり400〜500円前後となり、1時間1,000円の最低保証が付いています。
出前館は配達料金が高く、ショートピックに絞って受けることができるため、他のフードデリバリサービスよりも稼ぎやすいと考えられます。
出前館配達員の仕事の仕組み
まだフードデリバリサービスの配達員をしたことがない方は、配達員の仕事の流れがどんなものかイメージがつかないと思われます。
そこで、出前館の配達員の仕事の流れや始め方を解説します。
アプリを起動させてから配達完了するまでの流れ
出前館のアプリを起動して業務を開始して1件配達を完了するまで、以下の流れに沿って動くことになります。
出前館配達員の始め方
出前館は配達員登録説明会の参加が必須となっています。
出典:https://corporate.demae-can.com/gig_personal/
説明会はZOOMを利用したオンライン説明会で、説明会が始まるまでに、氏名・電話番号・メールアドレス・希望エリア・配達員登録を知った媒体・紹介コードを入力しておきます。
加えて、事前研修動画の閲覧と理解度チェックテストの受講も済ませてください。
説明会が終了すると、本登録のURLのリンクが記載されたメールが送られ、そこから必要書類のアップロードを行います。
この時、自賠責及び任意保険証書のアップロードも必要であるため、事前にこれらの加入手続きも済ませておいた方がいいです。
審査が完了すると、「【デリバリースタッフ登録のお知らせ】」と記載されたメールが届き、そこにアプリのログインIDとパスワードが記載されています。
アプリをダウンロードして、ログインが完了すれば配達を始められます。
アプリ内で事前に設定しておくべき項目は特にありません。
出前館の配達可能エリア
出前館の業務委託での配達可能エリアは以下の25都道府県です。
北海道地方
- 北海道
東北地方
- 宮城県
- 福島県
関東地方
- 東京都
- 神奈川県
- 埼玉県
- 千葉県
- 茨城県
中部地方
- 富山県
- 三重県
- 岐阜県
- 愛知県
- 静岡県
関西地方
- 大阪府
- 兵庫県
- 京都府
- 滋賀県
中国地方
- 岡山県
- 広島県
四国地方
- なし
九州地方
- 福岡県
- 佐賀県
- 長崎県
- 熊本県
- 鹿児島県
- 沖縄県
配達可能な都道府県が増えることはもちろんありますが、初めからその都道府県の全てのエリアが配達可能となるわけではありません。
例えば、大阪府であれば出前館のサービスが始まった頃から一部エリアは配達可能でしたが、9月から枚方拠点の配達が可能となりました。
このようにすでに配達に対応している都道府県でも、エリアごとで対応しているかどうか変わり、配達可能エリアは定期的に拡大し続けています。
出前館配達員の他のフードデリバリーサービスと比べたメリット・デメリット
出前館でフードデリバリーサービスを始める前に、他のフードデリバリーサービスと比べた特徴を理解しておくことが大切です。
ここでは出前館の配達員のメリットとデメリットを解説します。
メリット
出前館の配達員のメリットとしては主に以下の3つが挙げられます。
- 採用されやすい
- 配達バッグに決まりがない
- 1件あたりの報酬が高い
1つずつ見ていきます。
◆採用されやすい
出前館は研修用動画の視聴とオンライン説明会の参加、研修用動画に基づいたテストに合格すれば配達業務ができます。
出前館にアルバイトとして入る時にも求められる面接が必要ないので、接客に自信がなくても配達業務を始められます。
これまでアルバイトの応募をしてきて、面接で落とされてきた方でも始められるのは働く側にとって大きな利点だと言えます。
◆配達バッグに決まりがない
基本的には登録しているフードデリバリーサービスに合った配達バッグを背負って配達するのが好ましいです。
特にDiDiフードなどでは指定されたバッグ以外での配達を禁止しています。
しかし、出前館では支給される帽子さえ被っていれば、他のフードデリバリーサービスのカバンでもロゴを隠していれば使えます。
そのため、他のフードデリバリーサービスと掛け持ちで働くこともできます。
◆1件あたりの報酬が高い
料金の比較表を見てわかるように、出前館は他のフードデリバリーサービスと比べて1件あたりの報酬がかなり高い金額に設定されています。
加えて、今いるエリアの範囲内の店舗でのピックや配達先への受け渡ししか基本的に来ないため、ショート案件を積み重ねやすい分、他のフードデリバリーサービスより稼ぐことは決して難しくありません。
ただ、Uber Eats(ウーバーイーツ)が大幅に配達料金を下げられてしまった事例もあるため、出前館でも同じことが起こる可能性がある点に注意が必要です。
デメリット
出前館の配達員のデメリットとしては主に以下の3つが挙げられます。
- 注文の受注が早い者勝ち
- 商品受け渡しの時間が決まっている
- 配達件数を重ねにくい
1つずつ見ていきます。
◆注文の受注が早い者勝ち
Uber Eats(ウーバーイーツ)の場合は、それぞれ違った注文が各々の端末に送られるため、じっくり考えて注文を受けるかどうか決められます。
しかし、出前館は複数人に同じ注文が届いて、早く受けた人が配達を行う形式となっています。
あまりじっくり考えて受けるかどうか決められない点が不便で、最悪注文を取られ続けて稼げないこともあり得るので、ある程度割り切って注文を受ける姿勢も大事です。
◆商品受け渡しの時間が決まっている
出前館は他のフードデリバリーサービスよりもやや特殊な仕様になっている傾向があります。
その1つとして商品の受け渡しの時間が決まっている点が挙げられます。
本来なら短時間にいくつも配達をこなしていくのが理想ではありますが、商品の受け渡し時間通りに配達するように決められているため、早く到着すれば時間まで待たなければなりません。
逆に、道に迷って時間に間に合わないとなるとかなり焦ってしまいます。
◆配達件数を重ねにくい
出前館は単価が高くてショートピックが拾いやすい代わりに、商品の受け渡しの時間が決められていることで、配達件数が重ねにくい仕様になってしまっています。
そのため、ある程度1日に稼げる金額の上限が決まっていて、個人事業主のがんばった分だけ成果がもらえる強みは活かせないと言えます。
ただ、マイペースに無理のない範囲で稼ぎたい方にとっては、慣れればのんびりとした配達が実現可能なので、そういった方には特に出前館の業務委託の配達員はおすすめです。
出前館の業務委託配達員の口コミ・評判
これから配達員をしてみたい方にとっては、実際に出前館の業務委託の配達員をしている方が、この仕事にどんな印象を抱いているのかは気になるところです。
そこで、出前館の業務委託の配達員の良い評判と悪い評判を紹介します。
良い評判
出前館業務委託始めてからウーバーイーツやらなくなったな 注文も出前館のがおおいし、ロングドロップなし固定700円だから全てにおいて上回ってる
今日は日曜って事で出前館20件配達しました!結構大変 でも稼げるからOKです
(引用:https://twitter.com/dotsightmili/status/1416756370989215748)
Uber Eats(ウーバーイーツ)でデリバリーサービスで働き始める方が多いのですが、そこからより稼ぎやすいサービスへ移行するために出前館を選択する方が多いです。
特に関東ではその動きが見られていて、関西だとDiDiフードの注文数が多いことからDiDiフードに移行する方が多いです。
実際、出前館に移行した方はUber Eats(ウーバーイーツ)より配達件数が多くなったと回答していて、出前館は稼げると回答した方も多く見られました。
悪い評判
出前館のアプリエラー多すぎですよね注文が早い者勝ち制なのも、ドライバーを急かしてしまうのでやや危険かなと思いますね
(引用:https://twitter.com/taku53269732/status/1335221721348014080)
我が家のエリアは ウーバーイーツも出前館も可哀想なぐらいのエリアでもちろんそんな場所なので居ません あれはお店と人が多いエリア都会でしか稼ぎにくいね。
(引用:https://twitter.com/chaopanicrin/status/1356614412568678400)
出前館は他のフードデリバリーサービスと比べて、アプリのエラーが頻繁に発生して予定よりも稼ぐことができなかったということも珍しくないようです。
他のフードデリバリーサービスと比べて稼ぎやすい料金や配達の仕組みになっている分、1日のロスが収入に大きく影響してしまいます。
少しでも早くアプリエラーの少ないフードデリバリーサービスになれば、市場に敵なしの状態を作るのも夢ではないと思われます。
また、出前館はエリア拡大を行っている最中なので、都会とそうでないエリアとで注文数に大きな差があって稼ぎにくい部分もあるようです。
まとめ
出前館はアルバイトの直接雇用と個人事業主の業務委託の2つの働き方から選べる珍しいフードデリバリーサービスで、1件あたりの配達料金が高く、アプリの仕様上ロングピックが入りにくい仕組みになっていることから、他のフードデリバリーサービスと比べてもかなり稼ぎやすいと言えます。
利用者からの評判も良いものが多くて、これからフードデリバリーサービスで働きたいと思っている方に出前館の業務委託の配達員はかなりおすすめです。
しかし、配達1件あたりにかける時間が決まっていることから、がんばり次第で配達件数を調整することができず、アプリのエラーの頻度も他のフードデリバリーサービスよりもやや多い傾向にあります。
そのため、必ずしも努力して報酬を上げていける保障がない点を理解した上で、出前館の業務委託の配達員の登録を検討した方がいいでしょう。